読了 氷壁:井上靖

井上靖 著『氷壁』新潮文庫 を読みました。5月に、『氷壁』に登場する宿として知られる上高地の徳澤園へ訪れたのをきっかけに、読みたくなったのです。
読書は得意ではないので、最初は全部読めるか自信が無かったのですが、読み始めるとあっという間に物語に惹きこまれていきました。(以下ネタバレ気味)

(↓氷壁の宿、徳澤園!)

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『氷壁』は、昭和30年から31年の穂高連峰が舞台で、執筆も同じ頃です。
今から60年近くも前の物語ですけれども、文体等含め大変読みやすく現代とも違和感無かったです。時代を感じたのは、会社と従業員が現代よりも家族的な繋がりであることと、主人公の魚津恭太が給料を前借しまくっていること。今はそう簡単に会社は給料前借させてくれないでしょ。(^^;) でも私も昭和生まれですし、昔の会社はそうだったのは知ってますので理解に苦しむことはありませんでした。

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にわか上高地ファンの私としては、作中に“沢渡”とか“釜トンネル”とか、上高地用語が出てくると「知ってる知ってる~!」と、何だか嬉しかったです。
私はてっきり、主人公の魚津恭太は、八代美那子か小坂かおる のどちらかと一緒になるものだと思っていたので、魚津の雨に濡れた登山ノートが出てきた時は、読んでいたのが夜中だったにもかかわらず 「ウソでしょ!?」 と思わず叫んでしまいました。私もまた物語の女たち同様に、魚津に心惹かれていたので暫し茫然としてしまいました。魚津を失って、虚無感に包まれる八代美那子。。。私も美那子と同じような気持ちになったけれど、一方、魚津が永遠に自分のものになったと捉え、満たされた気持ちになる小坂かおる。。。そんな女もいるでしょう。
しかし、魚津の後片付けでやる事の多い今は良いが、物語の最後の文章の事もやり遂げた時、かおるはどうなってしまうのだろう。同じ満たされた気持ちでいることができるのだろうか? と、いつまでも余韻が残りました。

『氷壁』は、NHKが玉木宏:主演でドラマ化したみたいね。しかし、穂高をK2に置き換えているので、上高地じゃないなら私は見なくていいや!
ドラマでは玉木が魚津だけど、私には、玉木はむしろ小坂乙彦のイメージだったわ。
それで、小澤征悦が魚津なの!

それにしても、井上靖ってスゴイね! 小難しい言葉は使わなくても、簡潔で平易な文章であんなにも場面を鮮やかに描写するのだから。さすが昭和の文豪!

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